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by tarbokawasaki

河童のクゥと夏休み

暑さだけのせいなのかどうか、今ちょっと私小説ならぬ私漫画のようなもののネタを考えてるせいか(関係ねーか)妙にイラつく。しょうがいない部分もありますけどね。そんな中「河童のクゥと夏休み」を観てきて感動したんですが…以下、ネタバレも入ってますが知ってても感動するかも。今週で終わるらしいから映画館へ走れ!もしくは電車、自転車、徒歩などでいけ!



設定上「ET」のような、「この設定だったらこういうシュチュエーションはあるだろうなぁ」というある意味でのベタさを丁寧に描いている誠実すぎる映画。ベタは高い技術や志がないと出来ないことだと思う。

意外だったのは思いの他「ファンタジーな映画」というわけではかなかったことか。原恵一監督は「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモ−レツ!オトナ帝国」しか観てなくて、あれもそうだったけど、それにしても現実的な映画。設定自体はもちろんファンタジーなんだけど、河童のクゥは「しっかりした田舎の中学生」と感じられるようなキャラだし、クゥと出会う主人公の少年のその妹の「意地悪なキャラ」は中々好きになれないくらい(もちろんこれは後半で妹とクゥが仲良くなっていく伏線とわかっていても)。とにかく人間描写がリアルというかクレバーというか、梶原一騎の「人間性悪説」が頭を渦巻く。それはことさら人間をネガティブに描いてるわけではないと思う。人間は平気で嘘をつき、誤摩化し、開きなおり、なおかつ自分ばかりを守り、反吐が出そうな側面が確実にあることを鑑賞中、何度も思う(人間不信だなぁ)。それでも、というかだからこそ、人間や運命の残酷さを知った上でのクゥの最後の最後のセリフが泣ける。主人公が好きな、やはり残酷な運命を背負った少女もそれを受け入れる(主人公と少女の小学生ならではの純愛も平気で何股かかける昨今、良い)。もちろんこの大好きな二人と同時期に別れる運命の主人公も。誰とも何にとも関わらなければ人生は多分平和なんだろう。だけどそこには何も無い。絶望もないけど希望もない。どんなに落ち込んでも絶望的でも人と関わるべきだなぁと人間不信気味(大袈裟だな)の自分は思ったわけです。とか書くとまるで自分が純粋な人間のようだけど、単なる気の弱いふがいない人間だ。

「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモ−レツ!オトナ帝国」のようなアニメ特有のグっとくるシーン、例えばしんちゃんが東京タワーの階段をひたすら爆走するシーンは台本的には一行ですみそうな単純なシーンなのに登って転んで…というだけのシーンをじょじょに荒々しくなる絵で描き、なんとも言葉にできない感動があった。そういうアニメとして目を見張るシーンが無いとはいえないけど少ないのが弱冠物足りなかった…けど、といってもこの「河童のクゥと夏休み」でもやはり出てくる東京タワーでの「龍」のシーンはグっときたけど。結局「人間社会を離れる」という選択をしたクゥをみて、「俺もそうしたい…」とほんのちょっと思ったのは、ちょっとだけ疲れてるからだろう。ビール呑みゃあなんとかなります。
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Commented by keetz at 2007-08-16 05:49 x
>そういうアニメとして目を見張るシーンが無いとはいえないけど少ない
といえばそうだけど、逆にアニメ夜話なんかで「しんちゃんがタワー登る時の背景動画がウンヌンカンヌンでさー」とかいじくりまわされずに済みますね。セル画少なそうなのにアニメらしくないのがいい。
あと、違和感感じるほど徹底的に水がリアルなのがよかったですね。
ちなみに『~アッパレ! 戦国合戦』とも“チョンマゲ時代からのタイムスリップ”(クゥは厳密にはスリップじゃないけど)というのが共通してます。集大成ですね。(ちなみに『~戦国合戦』にも劇画調になる一瞬があり、これも燃えます。)
僕は「人間社会から離れた」とは捉えてなくて、むしろ「同じ時代にとどまった」という風に捉えて、感動に打ち震えました。今の日本もまんざらじゃないんじゃん!という希望ですね。
とにかく、なんかもう全肯定っす!
Commented by 川崎 at 2007-08-16 23:53 x
>keetzさん
そうですね、アニメは滅多に見ないせいか、あと描写がリアリズムだったせいもあってか「アニメ特有のもの」を求めるという貧乏臭い考えが浮かんじゃいました。クゥと主人公が川でいっしょに泳ぐとこは実写じゃ出来ないとこでした。涼しそうな川でしたね。

>僕は「人間社会から離れた」とは捉えてなくて、むしろ「同じ時代にとどまった」という風に捉えて、感動に打ち震えました。

なるほどー。確かにタイムスリップものじゃないから最初に蘇った時点で過去にも戻れないし、ずっと安心して生活も出来ないだろうしって感じでクゥの圧倒的な孤独を感じたんですよ。だからあのラストは救われたというか、他の妖怪もあちこちにいて普通に共存してるんだろうなぁと良い余韻を味わいました。
by tarbokawasaki | 2007-08-15 05:14 | ●映画や演劇 | Comments(2)